鉄欠乏について
首こりの大きな要因はもう一つあります。それが鉄欠乏です。
鉄不足による鉄欠乏性貧血は全てのタイプの貧血のうち約60~70%を占める最も多くみられる貧血です。
特に日本人女性の17~49歳の女性のうち潜在性鉄欠乏症を含めると6割以上が鉄欠乏性貧血であると言われています。
参考文献
Current status of occult iron deficiency in Japan and improvement by intake if heme iron: An analysis based on serum ferritin levels, 1984-2004. J Orthomolecular Medicine.
鉄は私たちの身体機能、生命の維持にとって非常に重要で不可欠なミネラルです。
そのため鉄欠乏は私たちの気付かないところで身体に影響を及ぼし、不定愁訴や慢性的な体調不良をきたすことになります。
鉄欠乏と自律神経
酸素不足
鉄欠乏による貧血では慢性的にさまざまな組織へ酸素の供給が不足している状態となっています。
特に筋肉で酸素不足が起こると、糖を代謝して得られるはずの十分なエネルギーを生成することができず、エネルギー不足となります。
これが首の筋肉の疲労、過剰な緊張をもたらします。
交感神経の刺激
次いで、その酸素不足を補うために交感神経の刺激により心拍数が増加、相対的に血液の循環量を増やすことで酸素の供給を維持しようとします。
鉄欠乏があると、血中や尿中にアドレナリンやノルアドレナリンが増加することがわかっていますが、これは交感神経が優位となっている状態であることを示しています。
アドレナリンやノルアドレナリンは、末梢神経の収縮や血行障害をもたらします。
これもまた首の筋肉の緊張を引き起こしてしまうのです。
このように、鉄欠乏は様々なかたちで自律神経に影響を及ぼし、首の筋肉の緊張を高め、頭痛を引き起こす要因となっているのです。
鉄欠乏と痛み
鉄はからだの皮膚、爪、筋膜、腱、血管などあらゆるところに存在するコラーゲン生成に欠かせないものです。
鉄欠乏ではそのコラーゲン生成に不具合を生じます。そのため様々な組織の修復が遅れます。
以下のような症状はないですか?
- アザができやすい
- 爪が割れる
- 髪の毛が抜けやすい
これらは鉄不足の症状です。
また、肩こり・首こりや他の原因の不明の痛みなども鉄不足による可能性があります。